国立西洋美術館『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』レポ
『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』行ってみてどうだった?
先週末、国立西洋美術館で開催されている『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』に行ってきました。
会場の様子や感想などについて書きます。
まさに「西洋絵画の教科書」 ボリューミーな構成
国立西洋美術館の企画展といえば、作品が盛りだくさん、途中で疲れてくるほどの充実ぶりですが、今回はそれが良い方向に働いていた気がします。
ナショナル・ギャラリーの特徴として「西洋絵画の教科書」というキーワードが公式サイトで挙げられています。
イギリスに限らず、幅広い範囲のヨーロッパのコレクションを有していることを示すものです。
今回の展覧会では、
Ⅰ イタリア・ルネサンス絵画の収集
Ⅱ オランダ絵画の黄金時代
Ⅲ ヴァン・ダイクとイギリス肖像画
Ⅳ グランド・ツアー
Ⅴ スペイン絵画の発見
Ⅵ 風景画とピクチャレスク
Ⅶ イギリスにおけるフランス近代美術受容
の7部構成で作品を紹介していましたが、それぞれで毛色が異なるので、最後までワクワクしながら圧倒的なコレクションを堪能できました。
また、いわゆる目玉作品が惜しみなく展示されていた点も素晴らしかったです。
例えば第Ⅱ部でいきなりフェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》が登場するのですが、これが「オランダ絵画の黄金時代展」だったら絶対最後の部屋に陳列されてますよね…。
フェルメールに限らず、レンブラント、ボッティチェッリ、ベラスケス、ターナー、モネ、ルノワール…と、単独で展覧会ができる作家が目白押しでした。
そして最後にゴッホの《ひまわり》と対面したときの感動と言ったら。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの本気を見たといったところでした。
そもそも「ナショナル・ギャラリー展」をイギリス国外で開催するのは今回が初めてということなので、まさに歴史的な展覧会と言えるでしょう。
コロナ禍じゃなかったらもっと大々的に実施できたんだろうなあと思うと悔しいです。
私が悔しがってもしょうがないですけど。
混雑状況
日時指定チケットのおかげで、ゆったりと展示を見ることができました。
土曜の昼前に入場しましたが、入り口で数分待たされたほかはスムーズな進み具合でした。
近年のフェルメール展なんかだと、「じっくり鑑賞するエリア」と「間近で鑑賞できる立ち止まれない列」が別で作られていますが、今回はどの作品でもこういった対応はされていませんでした。
かなり快適だったので、日時指定制はぜひ今後も取り入れてほしいです。
グッズエリアは入店時人数制限がかかっていて、ここも数分待ちでした。
10分程度での買い物が推奨されています。
グッズ
公式図録は2900円(税込)。
表紙がゴッホの《ひまわり》とクリヴェッリの《聖エミディウスを伴う受胎告知》の2パターンあります。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展図録【表紙:ゴッホ”ひまわり”バージョン】 | 図録専門販売サイト MARUYODO
1400円(税込)のミニ図録もあるので、記念に買おうかなという方にはいいと思います。
私が買ったのはこちら、
すみっコぐらしのミニタオルです。
かわいい!
ちなみに「てのりぬいぐるみ」は完売していました。
再販したら欲しい。
エントランス
エントランスには《ひまわり》をモチーフにしたフォトスポットがあるのですが、
うーん、観光地の山の上にありそう…。
アルチンボルド展の時の気合いはどこへ。
反対側の壁の方がロンドン・ナショナル・ギャラリーの外観を模していてお洒落だったので、写真を撮りたい方はそちらの方がオススメです。
総評★★★★★ 行かない理由がない
誰もが知っている名作揃い、ボリューミーな展示、全作品が日本初公開と、もはや行かない理由がないです。
ということで大満足の星5!
ただ、西洋絵画の歴史を概観する内容である分、ゴッホ以外の各作家・作品への掘り下げは深くありません。
一度来場したらお腹いっぱいかも。
ちなみに常設展では、ラファエル前派などのイギリス絵画コレクションをピックアップして展示していました。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、イギリス絵画をテート・ブリテン、そしてテート・モダンに移したという経緯があり、今回の企画展でもイギリス絵画はそれほど多く出品されていません。
常設展も合わせて訪れると、より充実した鑑賞体験となるでしょう。
そんなわけで「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」、ぜひ行ってみてください。