くまだかいぬだか

「いま、ここ」を飛び出したい。物語が好き。

セントジェームス ウエッソンのタグは右側に付いているという話

小学校で先生をしていた時、服の前後をどうしても間違えてしまう子がいた。

体育着を逆に着て、普通の服に着替えたらまた逆で…といった具合に。

その度に「ペラペラしたやつが後ろに来るように…」とか声を掛けてたけど、その子にはその子のこだわりがあるから上手くいかない。

だんだんお互いうんざりしてきたし、まあ命に関わることではないからな…と静観しつつあった。

ある日先輩の先生に、「服ってさー、タグが必ず左にくるように作られてるの、知ってる?」と言われた。

その人はユニークなクロージングを売っているある民間企業で数年働いた経験をもってしてブイブイ言わせている(死語)強面の先生だった。

そして「タグを左にしてみな」と言ったらその子はあっという間に正しく服を着ていた。

「こんなことも思い付かないようじゃまずいよ」と言われて、私は素直でピュアピュアな若手だったので「こんなことも思い付かないなんて私は何てダメなんだろう…」と思った。

その頃は色んな人に色んなことを言われていたので、ちょっと悲しくなった後はまた別のことに上書きされて、一つの悲しさに囚われる余裕もないまま日々を過ごしていたし、そのうちこの仕事何か違うな〜と思って私は先生を辞めた。

でもなんとなく、「タグは必ず左側」という教えが心に残っていた。

 

ところが、下ろしたばかりのセントジェームスのウエッソンを着て出かけたある日、私は服の前後を間違えていることに気づいた。

出先で。

でもタグは左側にあるのに…なんで??

なんと、タグが右側にくる仕様になっていたのである。

調べてみたら、海外製の服を中心に、タグが左側にない例は結構あるらしい。

「知らないとやばい」と言われたあの教えは、海外製の服には適用できないくらい限定的なものだった。

 

結局、私が過ごしたあの学校での数年は、そんなことの積み重ねだった気がする。

学校の中でしか通じないルールを、絶対的なものとする世界。

他の人にも色んなことを「当たり前でしょ!?」と教え込まれたけど、それって外の世界でどれだけ通用するものだったのか。

でも実際、タグが左側と言われたあの子はあれ以来服の前後を間違えなかったし、学校の先生としてあの人が教えたことは正しくて。

でもなんだろう、そういう違和感、不信感みたいなものが澱のように積み重なっていって、私は苦しかった気もする。

とりあえず、もう26歳にもなるので、服の前後くらいはタグに頼らずにわかるようになりたい。

あとたった数年の経験を盾に「学校ではこうだけど知らないの??」とか言わないようにしたい。

 

さて、ここからはセントジェームス・ウエッソン(ボーダー)のレビューを書きます。

こんなアクロバティックな角度から言及してセントジェームスに怒られたらどうしよう。

OUESSANT "BORDER"
ウエッソン[ボーダー]
セントジェームスのシャツの定番中の定番。ボートネック、長袖のシャツの原型はノルマンディー地方の漁師やヨットマン等の船乗り達が着ていたもの。実用的に考えられた素材、スタイルが特徴です。
コットン100%、目のしっかりとした素材は、洗濯機でガンガン洗っても大丈夫。着込んでいくことによって、だんだんと風合いも出て、肌に気持ちよくなじんでいきます。
※100%コットン

ウエッソン[ボーダー]:セントジェームス

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生地はしっかり目。

買う前はパリジェンヌ的なイメージを持ってたんだけど、もっと無骨な感じ。

下にデニムとか合わせてラフに着るのがかっこいい気がしてます。

生成り地が王道らしいんだけど、試着してみたら白地の方が顔色が明るく見える気がしたのでそちらを。

イエベ春の人は白地がいいのでは。多分。

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右側にタグが付いていることだけ覚えてもらえたらいいです。

国旗が可愛い。

おフランス製です。

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洗濯機でがしがし洗うのがセントジェームス流らしい。

主婦の人が着てるイメージもあるし、長く着ていきたいです。