くまだかいぬだか

「いま、ここ」を飛び出したい。物語が好き。

今だからこそ読む『桐島、部活やめるってよ』

バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活をやめた。 それがきっかけで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がっていく。 物語をなぞるうち、いつしか「あの頃」の自分が踏み出した「一歩」に思い当たる……。 世代を超えて…

主体的に眼差される女性たち 横槍メンゴ『一生好きってゆったじゃん』

横槍メンゴが贈る7編の青春オムニバス結ばれることのなかった初恋の人。憧れ続けた同級生。なりたかった理想の自分。 永遠に届かないあなたに恋をしてしまった私たちは 戸惑い傷つき失いながらも、自分だけの答えを求め彷徨うーー 『クズの本懐』の横槍メン…

自分の「当たり前」に問いかける 言語的相対説(サピア・ウォーフの仮説)について噛み砕いて説明してみる③

①はこちら onceinabluemoonx.hatenablog.com ②はこちら onceinabluemoonx.hatenablog.com ウォーフ『言語・思考・現実』の紹介は、今回が最後になります。 「空」とは?「丘」とは?「山ぎは」と「山のは」が分けるもの ウォーフは、それぞれの言語は文の構…

「枝を傍へやる」=「足に余分な指が付いている」? 言語的相対説(サピア・ウォーフの仮説)について噛み砕いて説明してみる②

こんにちは。 前回サピア・ウォーフの仮説について書いてみたら、意外と好評だったので「なんで!?」って思いました。 どうしたの?時代がウォーフを求めているの…? 今回は続きのお話です。具体的な例が出てきます。 念のため、この記事は本の紹介です 「…

言語的相対説(サピア・ウォーフの仮説)について噛み砕いて説明してみる①

「言語的相対説」って何? みなさん「言語的相対説」って何なのか気になったことはありませんか? ありませんか。まあそうそうないですよね。 でも「サピア・ウォーフの仮説」って聞いたことありませんか? サピア・ウォーフの仮説とは、サピア(師匠)の考…

生きてるうちに読めて良かった。矢沢あい『天使なんかじゃない』

自分の幸せを いちばん守りたい 天使なんかじゃない 普通の女の子だよ*1 自分の理想とする高校生活を送れた、って言い切れる人はこの世にどれくらいいるんだろう。 小学生の頃から少女漫画で予習を重ねた。 昼休みには友達と屋上で購買のパン食べて、ある日…

気軽に行くな、他人の地元 『ミッドサマー』と高田大介『まほり』、ミイラ展

ミッドサマー、観ましたか?? タイミングを逃し続けてこの時期にブログ書いてるんですけど、私は公開初日に観ました。 ちなみに一番怖かったシーンは、エンドロールが終わって映画館が明るくなった時、隣に座った友達が今まで見たことがないくらいの満面の…

彼氏が「ワートリはいいぞ。」と言うから読んでみたらたしかによかった。

「ワートリはいいぞ。」 葦原大介『ワールドトリガー』(通称「ワートリ」)をオススメするときの常套句らしい。 マンガ好きの彼氏があまりにも「ワートリはいいぞ。」と言うので読んでみたら、期待以上に面白かった。 ちなみに私はなかよしや別マを嗜みなが…

西荻窪の古本屋に行ってみたら天国だった。その③

西荻窪に足を踏み入れようとしている全ての初心者の方に、 一回しか行ったことのない初心者が贈る、 西荻窪古本屋レビュー Part.3 最終回は、北口のお店を紹介します! 前回までの記事はこちら onceinabluemoonx.hatenablog.com onceinabluemoonx.hatenablog…

西荻窪の古本屋に行ってみたら天国だった。その②

こんにちは。 この記事は、 西荻窪に足を踏み入れようとしている全ての初心者の方に、 一回しか行ったことのない初心者が贈る、 西荻窪古本屋レビュー Part.2 です。 前回はこちら onceinabluemoonx.hatenablog.com 今回も南口編! 1. BREWBOOKS 2. にわとり…

西荻窪の古本屋に行ってみたら天国だった。その①

中央線の沿線には夜遅くまでやっている良い古本屋が多いという理由で、西荻窪に引っ越してきた。夜御飯を食べた後で、散歩をしながら何軒もの古本屋をまわれる町が全国に幾つあるだろう。それを考えると、住む場所に関する選択の余地というか迷いは殆どなか…

最果タヒ 詩の展示 に行きました。

どうもこんにちは。 また全然更新できてなかった。 季節はもう春ですね。 私は最近騎士団長を殺しています。 まさかハルキムラカミで雨月物語に触れることになるとは。最後まで読んだらまた何か書きたいと思います。 さて、面白かった展示があるので紹介しま…

「共感」って大事ですか?

「共感」って、結構怖いと思う。 と最近考えるようになった。 自分の感覚を物差しにして相手の心を測り取り、共感できる、共感できない、って審判を下していくことって、よく考えたら、いやよく考えなくても、凄く烏滸がましい。 例えば、性的マイノリティの…

ヨシカ的女性たちへ

『勝手にふるえてろ』を読んだ。 綿矢りささんの小説は他に『ひらいて』しか読んだことがないのだけれど、「痛い」物語を書く人だなと思う。 何というか、刺さるのだ。 主人公のヨシカは26歳のOL。 「私には彼氏が二人いて〜」という書き出しに、一体どんな…

世界のムラカミはこの順で読め!おすすめリスト

前回の続きです。onceinabluemoonx.hatenablog.com お久しぶりになってしまいました。 完全私見による、世界のムラカミはこの順に読んだらいいんじゃないかおすすめランキング、ではどうぞ! 1世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 世界の終りとハー…

世界のムラカミはこの順で読め!(序)

この世には、2種類の人間がいる。村上春樹を読んだことがある人間と、そうではない人間だ。 そして村上春樹を読んだ人間は、3種類に分けられる。彼の作品をすごく好きか、すごく嫌いか、どちらでもないか。 何を当たり前のことをという話だけれど、このこと…

「翻訳できない世界のことば」〜言葉は、世界の輪郭を象っている

翻訳できない世界のことば 作者: エラ・フランシス・サンダース,前田まゆみ 出版社/メーカー: 創元社 発売日: 2016/04/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (15件) を見る 「翻訳できない世界のことば」という本を、結構前に買った。 高級なチョコレー…